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クーベリックの天地創造 [この一枚]

カラヤンの天地創造を一気に聴いて、その魅力を再発見したのを機に、他の盤も引っ張り出していろいろ聴いてみてます。
今日はクーベリック盤。

KubelikCreation.jpg

ライブではなくスタジオ録音のようです。1984年、バイエルン放送響との録音。
歌手はよくある3名ではなく第3部のエバとアダムを別配役としたもの。ガブリエルがマーガレット・マーシャル、エバがルチア・ポップと普通はメインキャストをガブリエルとするのと逆に感じます。

ちなみにマーガレット・マーシャルはマリナーのミサ曲などでハイドンの録音も数曲あります。


上記のサイトのちょっとぼけた写真でもかなりの美人ですね。

さて、演奏は、ダイナミックさを目指すのではなくクーベリックらしい中庸の美学を感じさせるもの。純音楽的な構成美を目指しているのでしょう。カラヤンと比べるわけではありませんが、旋律をわりとあっさり奏でていきますが、オーケストラコントロールは非常に丁寧で見事。出だしの部分はかなり集中して弱音をコントロールしています。曲の大きな流れの把握が旨く、第1部のクライマックス、第3部の集結へ盛り上がっていく自然で素朴な高揚感の表現が特徴でしょう。

歌手の方は、最近カラヤン盤でヴィンダーリッヒやシュライアーなどのウリエルやプライのラファエルを聞き慣れてしまい、耳が肥えてしまっているのはいたしかたありません。ガブリエルのマーシャル、ラファエルのハウエル、ウリエルのコールともに悪くありませんが、やはりカラヤン盤の配役とはかなり差がついてしまっているのは正直なところ。なかではマーシャルが聴き応えがあります。トラック9のアリアは線は細めですが独特の可憐さがあってなかなかいいです。
肝心のポップですが、第3部のアダムとエバのデュエットは、やはり高音の美しさが際立ちますね。アダムのヴァイケルも艶のあるバスでなかなかいいです。

録音はやや遠目にオケが広がり、歌手の定位も控えめですが、録音自体はスタジオ録音だけに悪くありません。

この盤はやはりクーベリックの素朴な良さを聴くべき天地創造なんだと思います。オーケストラ、コーラス、ソロのバランスもよく、クーベリックの円熟の棒さばきによる現代楽器による質の高い音楽を楽しむべき標準的な名盤という評価です。

Kubelik, Gabriel:Marshall(sop), Uriel:Cole(ten), Raphael:Howell(bas), Eva:Popp(sop), Adam:Weikl(bas), Bilgram(cem), Chor des Bayerishen Rundfunks, Symphonyorchester des Bayerischen Rundfunks (June 1984) ORFEO C 150852 H [++++]

その他の演奏はこちらをどうぞ。

タグ:オラトリオ
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アリアの洪水! [この一枚]

歌曲つながりで、歌ものをもう1枚取り上げましょう。

Huss.jpg

マンフレッド・フス指揮のハイドンシンフォニエッタ・ウィーンによる、ハイドンの珍しいアリア集。
今年に入って手に入れたものですが、所有盤リストに登録していなかったので、この週末に登録しました。声楽曲の登録は、曲を特定して1曲1曲登録するのに時間がかかります。
先日取り上げたアメリングの歌曲集、そしてこちらも魅力的なオジェーの歌曲集などともにリストに追記しました。

曲名や評価等はこちらをご覧下さい。

Opera & Vocal 1 (オペラ、アリア、オラトリオ)
Opera & Vocal 3 (歌曲など)

この盤に含まれている曲は、ハイドンがエステルハーザに勤めていた時代に他の作曲家の作品のために書いたアリア(挿入アリア)

さて、肝心の演奏ですが、これがまた、期待を上回るすばらしい演奏。ハイドンのオペラのアリアがいかにすばらしいものだったかを再確認できます。モーツァルトやロッシーニのような突き抜けた閃きのようなものはさすがに感じられないものの、古典派オペラのアリアの最上の喜びに満ちています。

歌手は有名な人ではありませんが、ソプラノのピアソン、テノールのリヒターともに音程、テンポ感、声量ともに申し分なく、張りのあるすばらしい歌唱を楽しめます。そして何より見事なのがフスの指揮するオケ。

フスはハイドンシンフォニエッタ・ウィーンとともに、以前はKOCH SCHWANNレーベルにハイドンの管弦楽曲やバリトン曲、序曲集などの録音がありますが、何れも非常にいい演奏でした。特にオペラ序曲集は、古楽器による演奏ながら、ハイドンのオペラの序曲から、オペラの幕が開く前のざわめきというか期待感を感じさせる臨場感のあるすばらしい演奏でした。
これらの古い録音は、KOCH SCHWANNがなくなってしまったあと、そのまま現在、スウェーデンのBISレーベルに移り、ほとんどの(すべて?)録音が再リリースされています。BISがいかにフスを評価しているかがわかります。

この盤でのフスの指揮も、やはりオペラの劇場にいるざわめきのような雰囲気と、歌を支える絶妙の間があって、とっても楽しめます。古楽器のオケでこれだけの演奏はなかなか聞けないレベルの演奏だと思います。

この盤に含まれる13曲のアリアを通して聴くと、ハイドンのアリアの洪水にどっぷり浸かったような気になれます。

こうゆう演奏の価値も、資料的価値もあるきちんとしたアルバムをリリースしてくれるレーベルに感謝感謝ですね。

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典雅の極み、クレメンス・クラウスのホルン信号 [この一枚]

あいかわらず、コレクションの整頓を少しずつすすめてます。
ヒストリカルな演奏はごく気に入ったものを繰り返し聴く以外は、棚の肥やしになっちゃってます。

今日は古いコレクションをとっかえひっかえ聴いたうちの再発見盤で、クレメンス・クラウスのハイドンです。

クレメンス・クラウスの交響曲は次の3枚を持っています。
88番(ウィーン・フィル、1929年)PREISER RECORDS 90112
88番(バイエルン放送響、1953年1953年6月4日)ORFEO C 196 891 B
31番ホルン信号(ウィーン交響楽団、1952年)、88番(バイエルン放送響、1953年6月5日)rlecchino ARL179

このうち、今日のみっけもんは最後のrlecchino盤に含まれる31番ホルン信号です。

Krauss.jpg

先日とりあげたアルノンクールの演奏とは異なり、この曲の特徴である金管楽器の号砲は聴かれず、むしろ出だしは非常にゆったりとした典雅な趣にあふれたもの。というか、最初からこの曲の本質をホルンの号砲ではなく、柔らかな響きにあるとのはっきりとした見通しにもとづいたものだと思います。特に2楽章、3楽章は、まるでシュトラウスの天体の音楽のような切ないメロディーを奏でていきます。どちらかと言うと1楽章がメインという位置づけで聴いてきたこの曲の別の魅力を発見したような新鮮な印象をもたらしてくれました。
ただし、音質はあまり良くなく、高音がこもった感じな録音の上、3楽章、4楽章はフォルテッシモの部分でびり付きなどもあるもので、音質目当ての方にはおすすめできません。むろん、音楽を聴くのには全く申し分はありません。

ホルン信号以外の録音は88番。こちらは得意としていたようですね。3枚の中では、オルフェオ盤が比較的おすすめです。rlecchino盤と同じ演奏に聴こえますが、両者のライナーノーツの記録は1日違います。

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ブルーノ・ワイル、ロンドンセットへ [この一枚]

今日の一枚はブルーノ・ワイルのロンドンセットのライブ録音集。

WeilNew.jpg

ブルーノ・ワイルはターフェルムジークという古楽器オケでハイドンのパリセットや疾風怒濤期の交響曲やミサ曲集などの録音があり、これらの録音はハイドンの古楽器による演奏で、私が最も好んで聴いている演奏です。
既に古楽器の演奏で幾多の演奏があるハイドンの交響曲ですが、演奏に生気があるという意味ではワイルが最右翼ではないかと思います。ピノックの演奏にも同様のエネルギーを感じますが、やや型にはまったところがあり、ブリュッヘンでは鬼気迫る分厚い音響の迫力を感じるものの生気と言うか生き生きとした感じが後退してしまってます。ホグウッドは典雅に傾き、グッドマンはコントラストをつけすぎて固さが目立ち、鈴木秀美は指揮者の過剰コントロールで生気が抜けてしまっているようにきこえてしまいます。
そう、わたしにはワイルがとてもバランスよくハイドンの曲を楽しめる演奏なんです。

以前、熱心に集め、よく聴いたワイルがロンドンセットの録音に突入していることは、このブログを始める頃まで気づいていませんでした。HMV ONLINEで見つけてようやく最近入手しました。
曲目はロンドンセットの作曲順?の最初の3曲である96番奇跡、95番、93番。2枚組で2枚目はワイルによるオケを使った演奏をともなった解説が含まれています。SACDハイブリッドです。

肝心の演奏は、期待が大きかった分、思ったよりおとなしいものと感じました。コンサートライブの録音で、以前の録音より編成が大きい分スケールは大きくなりましたが、きびきびとしたタイトな感じよりは、かなり自然な節回し。オケも響きの反射音を楽しんでいるような演奏です。中では冒頭の奇跡がいちばん乗っている感じです。
2枚目の解説はドイツ語なので私もわかりませんが、この解説の所々に差し込まれる断片の演奏が、1枚目の演奏より生々しくて、意外と面白いです。

これから、ロンドンセットのこりの9曲がリリースされるのを楽しみに待ちましょう。

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ANDaNTE:懐かしの名演奏集 [この一枚]

今日の1枚はANDaNTEレーベルのハイドンの交響曲と協奏曲の名演集。

Andante.jpg

ANDaNTEレーベルは、黒の渋いジャケットに豪華な製本作りのセットものをだすレーベルとして知られておりましたが、どうやら最近はCDのリリースから撤退している模様です。本家のウェブサイトでもCDのコレクションのことは触れられていません。


最近ショップでは在庫整理でバーゲンなどの棚に並ぶことが多くなっているようです。このレーベルのコレクションはリリース当時、ずいぶん値が張っていたため(1枚あたり2〜3000円くらいしたと思います)、在庫処分価格で入手できるのはありがたいことです。ただし、私がこのアルバムを手に入れたときは高いときでした。

さて、含まれる演奏は次のとおり。詳しくは右の曲目リストでAN 1180で検索してみてください。

シモン・ゴールドベルクのバイオリン協奏曲(1947)
ランドフスカのピアノ協奏曲(1937)
フォイアマンのチェロ協奏曲(1935)
トスカニーニ/NBCのV字(1938)
ワルター/パリ音楽院管のオックスフォード(1938)
クーセビッツキー/ボストン響の驚愕(1945)
トスカニーニ/NBCの98番(1945)
ミュンシュ/パリ音楽院管の協奏交響曲(1938)
クーセビッツキー/ボストン響の102番(1936)
ビーチャム/ロンドンフィルの99番(1935、36)
トスカニーニ/NYPOの時計(1929)
ワルター/ウィーンフィルの軍隊(1938)

ライブではなくスタジオ録音で、すでに他のレーベルからリリースされているものがほとんどです。いわば20世紀前半から半ばにかけてのハイドンの名演奏をひとまとめにしたものです。
このアルバムがいいのは各録音の音質がそろっていてとても聴きやすく仕上がっていること。そしてプロダクトとしてとても丁寧な作り。日本語はありませんが、解説も非常に丁寧で古い写真がたくさんちりばめられています。

既にほとんどの録音は他のレーベルで聴いたことがあるものが多かったですが、このアルバムで見直したのは、クーセビッツキーの交響曲2曲とゴールドベルクのヴァイオリン協奏曲です。
クーセビッツキーにはあまり注目していなかったので、これまであまり聴いてきませんでしたが、これはいいですね。102番は名演です。推進力も歌う部分も響きも申し分なしです。1936年にもどって生で体験したいものです。

古い録音はスタイルこそ古いものがありますが、これだけ時間が経過しても聴き続けられるべき価値があるという意味で、時代を代表する演奏という価値があり、そこには今の演奏にはない何かがあるわけです。
私自身はこうしたヒストリカルな演奏から最近の演奏まで、どちらが好きということもなくまんべんなく聴きますし、古いものにも新しいものにも好きな演奏があります。いろいろ聴いて初めてわかる違いがあって、興味は尽きないですね。

いいアルバムなので、中古や在庫処分を見かけたらお見逃しなく!

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NAXOSのミサ曲全集 [この一枚]

今日の一枚はNAXOSのミサ曲全集。

Mass.jpg

いつもは1枚ずつ発売して、あとからまとめて発売するのが常套手段のNAXOSですが、これはいきなり8枚組の全集で発売され、ちょっとびっくりしたものです。指揮は2曲を除いてJ. Owen Burdickという人で、天地創造ミサとテレジアミサののみJane Gloverで、オケは古楽器のRabel Barque Orchestra。

演奏はどの曲も古楽器の響きの良さが感じられる、非常に自然な演奏。あえていえばグラヴァーの2曲はそれに柔らかさが加わり、一つ格上の出来。ミサ曲を聴くためのファーストチョイスとしてお勧めできる演奏です。録音も自然でとてもいいです。
ライナーノーツは目次から始まり曲の解説、歌詞、演奏者紹介、指揮者のコメント、全録音のオケや合唱団のメンバー一覧まで含まれていて、とても廉価盤とは思えない丁寧な作り。箱もしっかりしたつくりでとても廉価盤とは思えない力の入れようです。

先日Brilliant Classicsを取り上げたばかりですが、廉価盤のもう一方の雄のNAXOSも負けてはいられないといった気迫が感じられるセットです。

ちなみにNAXOSの方では、先日ピアノソナタのおすすめで触れたYandoのピアノソナタ全集や、コダーイクアルテットによる弦楽四重奏曲全集、多数の指揮者で作り上げた交響曲全集、オラトリオ全集などいろいろとリリースされていますが、このミサ曲全集はピアノソナタ全集とならんでハイドンの良さを伝える双璧と言える存在です。

(BLOGメンテ情報)
今週一段落したピアノソナタの整理ですが、右のPiano Sonata 3のファイル容量が大きく膨らみ、携帯等からのアクセスに支障を来す可能性があるため、Piano Sonata 3と4に分割しました。
あと、最近調べたところ、WikiPediaの情報もそれなりに情報が充実してきているためリンク先に加えました。

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燻し銀 ナディア・ライゼンベルク [この一枚]

今日は古めの1枚、いや2枚です。

Reisenberg.jpg
(HMVではこのレーベルは引いてないようなので、Towerのリンクです)

ナディア・ライゼンベルクは1904年リトアニア生まれのピアニストで、この録音は1955年から58年にニューヨークで録音されたもの。ソナタ6曲と変奏曲などの小曲6曲を組み合わせた2枚組です。
もともとWestminsterレーベルが録音したものをIVORY CLASSICSというアメリカのレーベルが再リリースしたものです。もしかしたら年配の愛好家の方にはなじみのピアニストなのかもしれませんが、私は初めて聴く人です。
この盤を手に入れたのはもう10年くらい前になるでしょうか。これも再整理で久しぶりに手に取って聴き直したアルバムです。

ライナーノーツやネットを調べたら、いろいろ資料がありました。
まずはこの人の公式サイト。


ヴァイオリニストだった妹のClara Rockmoreとともに2人の業績をたたえる財団?の公式サイトで、貴重な写真やディスコグラフィなども公開されており、一見の価値有りです。(妹を最初ピアニストと紹介してましたが誤りだったので訂正しました)

もう一つはこのアルバムのレーベルであるIVORY CLASSICSのウェブサイト。


音楽産業衰退の著しい昨今ですが、ピアノ音楽のみ60枚をリリースしている小レーベルです。
こうゆうレーベルは守らなくてはいけません!
ハイドンの録音も他に数枚あるようですので、今度直接注文をだしてみるべきでしょう。

さてさて、前置きが長くなりましたが、このアルバム、お気に入りの演奏です。
ノスタルジックな雰囲気が豊かな演奏ですが、古さを感じるというより気品の良さと絶妙の間が生きたすばらしい演奏でもあり、ハイドンのソナタの古い演奏の模範とも言えるものです。ライナーノーツにはLPとしての初出当時の新聞などの好評価のようすが紹介されていますが、それもうなずけるものです。

往事のジャケット写真の麗しい姿がそのまま音になったようなハイドンもいいものですね。

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絶品! 廻由美子のピアノソナタ [この一枚]

依然ピアノソナタのCDの整理を続けてます。今日の発見は廻由美子のピアノソナタ集。

Meguri.jpg

無警戒でした。これにはびっくり。すばらしい切れです。むろんリヒテルの孤高の詩情にはかないませんが、演奏の切れと迫力は負けてません。すこし低域が薄めの録音が惜しいところですが、曲を楽しむには十分質の高い録音です。
94年伊勢原市文化会館での録音。ライナーノーツによれば桐朋学園の講師をされている方とか。
おそらくピアノによる日本人のハイドンのソナタ録音ではピカイチの存在だと思います。

このアルバムを聴いて是非実演も聴いてみたくなりました。コンサートやってるんでしょうか? ぽちぽち調べてみることとしましょう。

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ピアノソナタ全集のあれこれ [この一枚]

このところ、ピアノソナタのCDの棚卸しで、あれこれとつまんで聴いてます。
その中で気になったものをいくつか。

1つ目はピアッツィーニ。

Piazzini.jpg

これはARTE NOVAレーベルから1枚づつリリースされていたものをまとめた9枚組の全集。
ポチポチ手に入れたときには、あまり印象に残らなかったものですが、今回あらためて何枚か聴いてみました。

特に録音年月の古いものほど、ゆっくりした楽章が、どこかで聴いたようなフレーズ。
そうです。1月19日に取り上げた(http://haydnrecarchive.blog.so-net.ne.jp/2010-01-19)レイグラフとそっくりなんです。
そこで恐る恐るライナーノーツを紐解いてみると、ピアッツィーニはアルゼンチンのブエノスアイレス出身で、ドイツに渡り、ケンプの支援のもとレイグラフに長年師事したとのこと。納得です。

まさに「鍵盤を一つ一つ確かめるように、音をおいていくような演奏」です。
最後の2枚については、レイグラフの影響から少し離れて、自身の演奏スタイルを見いだしたようなところもありますが、全般にレイグラフの影響を大きく受けていることは間違いありません。
落ち着いて味わい深いハイドンの全集として、おすすめ出来る選択です。


2つ目は、NAXOSのヤンドー盤です。

Yando.jpg

こちらも、10枚にわたってリリースされてきたものを最近ボックスとしてまとめてリリースされたもの。

こちらも入手時に聴いたときはテクニックは確かだけど、これといって特徴のない演奏という印象。
ところが、あらためていろいろ聴き直してみると、これが非常にいい。ピアノによる演奏では、ベーシックな選択としてどなたにもお勧めできるもの。どの曲もバランスよく、曲の面白さがよく表現できていると思います。

どちらのセットもボックスで入手すれば非常に安いものですので、ピアノの演奏でハイドンのソナタを楽しむための入門盤としておすすめできます。ちなみにどちらかと言えば、私はヤンドー盤をとりますかね。

ピアノによる全集にはまだまだ選択肢がありますが、整理中ゆえ、またの機会に紹介しましょう。

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アバドの「奇跡」 [この一枚]

いろんなところで何回か書いていますが、アバドのハイドンはキレてます。

Abbado.jpg

アバドがヨーロッパ室内管を振ったハイドンの交響曲と協奏交響曲などで、これまで4枚のアルバムがリリースされましたが、一部を除いて入手困難な状態が続いていました。
それらの録音をまとめて最近ボックスでリリースされ、名録音がふたたび手に入るようになりました。

アバドのハイドンの特徴は、小編成のオケの俊敏な反応を楽しむような切れのいい演奏。
それぞれの曲がこれまで演奏されてきた、いわゆる伝統的な演奏の型のようなものの存在を一切感じさせず、楽譜から純粋無垢な音を紡ぎ出したような音楽です。同じような感覚はアバドのドン・ジョバンニや魔笛を聴いたときにも感じましたが、ここまで無垢な音楽を奏でられるという感覚に天才を感じます。
どちらかというと、かなりあっさりとしたフレージングで、きびきびとしたダイナミックな展開、爽やかさが心情です。ハイドンの曲の構造の見事さを俯瞰すると同時にオケの巧さを楽しむにもいい演奏です。

このアルバムの中で1曲挙げろといわれれば、迷わず96番「奇跡」です。奇跡のベストを挙げろといわれたら、まずアバドです。
このアルバムの中でもオケの俊敏さはぴか一。まさに火を噴くような演奏です。
それから、「時計」「太鼓連打」協奏交響曲などがおすすめです。
おそらくアバドに今後ハイドンの録音は期待できないでしょうから、この演奏が途絶えず販売し続けられることを望むばかりです。

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