ノリントンの新旧交響曲集 [スポットライト]
最近ヘンスラーからリリースされたノリントンのロンドン交響曲集。
悪魔博士のような風貌で、自由闊達に音楽を繰り出していくノリントン。
特に好きな指揮者なわけではないですが、ハイドン・イヤーにロンドン交響曲集をまとめてだされれば、手に入れない訳にはいきません。先日入手し、少しずつ聴いています。
2009年9月7日から12日の間のシュツットガルトでのライブ録音で、拍手も入っています。曲ごとのばらつきのない仕上がり。
基本的には、ノンビブラートの弦で、最近流行のベートーヴェンの演奏のような筋肉質な構成で、ちょっと癖のあるアクセント、レガートを効かせたノリントン独特の節回しに特徴がある演奏。
個人的には、もう少しあっけらかんとしたのりの良さがあるかと思ってたんですが、意外とはじけ切らない端正な面も。もしかしたら、録音が若干デッドなところがそうゆう印象につながっているのかもしれません。
ノリントンの良さがでているのはやはり太鼓連打。無音をつんざく太鼓の連打で始まる構成、終楽章の高揚感などなかなかのもの。
ノリントンは、90年代にEMIからロンドン交響曲集の後半99番以降の6曲を3枚に分けてリリースしていました。しばらく廃盤のままで市場から消えていましたが、今回のヘンスラーのリリースに当てるかのように2枚組にまとめ直して廉価盤で再リリースされました。HMVでは4月入荷予定です。
今回の旧盤リリースは、やはり新盤の出来を見越してのことでしょう。今聴き直してみると、旧盤の方が私には遥かに良くきこえます。ニュアンスのデリケートさ、響きの美しさ、ふけ上がりの良さ、ノリントン独特の面白さも旧盤の方に分があるあるような気がします。
ノリントンは最近の不景気な状況においても、かなりの数の録音のリリースが続いており、ほとんどがライブ盤です。ノリントンの斬新な解釈はヨーロッパでは人気があるのではないかと思いますが、プロダクトとしての録音としては、昔のものの方が手間をかけて質の高いものをリリースしていたような気がします。
新盤には新盤の良さもあると思いますが、皆さんはどう感じられますでしょうか。
タグ:交響曲
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