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カラヤンのハイドン再考 [スポットライト]

カラヤンのハイドンは昔から入門盤として日本では巷の評価は高いもの。

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私自身はカラヤンは嫌いな方ではありませんが、ハイドンに限らず、一般的に1950年代、60年代のものはいいと思うものがある一方、70年代以降のアルバムについて積極的に押す気になるものはあまり多くありません。カラヤンの魅力は壮年期の覇気にあふれる演奏というのが音楽好きの見方なんじゃないでしょうか。

ハイドンの交響曲については80年代にベルリンフィルを振ったロンドンセットやパリセット(独グラモフォン)や、その少し前のEMIの交響曲集、そしてウィーンフィルとのロンドンなど数曲が知られています。

今回整理の都合で、あらためてちょこちょこ聴き直してみました。
上に紹介したアルバムは、ハイドンをいろんな演奏で聞き込んできた立場でいうと、非常に個性的な、特殊な演奏というのが正直なところ。重厚長大な曲想、うなる低音弦、意外と強弱の幅は大きくなくレガートを多用した、まさに磨き抜かれたカラヤン風という趣。
演奏の根底にあるのはハイドンの曲想をどう表現しようかということではなく、ハイドンの楽譜をどうカラヤン風の音響で表現しようかということでしょう。

最近、ホグウッドやアダム・フィッシャーのロンドンの実演を聴いて、ハイドンの曲に対する私の見方も少し変わりました。
ハイドンの曲には、仕えてきたエステルハージ家の人々に音楽の喜びをどう伝えようとか、評価してくれるロンドンの聴衆へ最高の作品を届けるために、持てるアイデアをふんだんに練り込んだり、創意の限りを尽くすといったメッセージが込められています。
それゆえ、演奏ではそのメッセージがどれだけ感じられるかがポイントとなるわけです。

先のカラヤンの演奏からは残念ながらハイドンのそういった魅力が感じられないというのが正直なところでしょう。最近はカラヤンよりも、フィッシャーとハイドンフィルのような素朴な演奏の方がハイドンのこうした魅力がより伝わってくるように感じます。

ということで、ハイドンの交響曲の入門というセレクトをするなら、カラヤン盤はおすすめしません。
カラヤン盤は、ハイドンをよく聞き込んだマニアに、「こんな演奏もあるのだ」とうなっていただくべきアルバムであります。


と、これではカラヤンにスポットライトを当てたことにならないので、カラヤンのハイドンのおすすめ盤を紹介しておきます。
こちらは、入門者にもマニアにも広くすすめられる名盤です。天地創造の旧盤。カラヤンのハイドンの中ではお気に入りの一枚です。


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