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シェルヘン、軍隊の爆演 [スポットライト]

今日はシェルヘンの交響曲集(2枚組)。最近tahraからリリースされたもの。

ScherchenTahra.jpg

曲目はリンク先をご覧ください。
この選集の聴き所は1954年のロイヤルフィルによる軍隊です。
軍隊はこれまで、ウィーン国立歌劇場管弦楽団との1951年の録音がウエストミンスターやドイツグラモフォンからリリースされていましたが、この録音は初CD化とのことです。

まずびっくりしたのが、腹に響く重低音。第2楽章のグランカッサが炸裂です。もちろん音に古さは感じられますが、1954年の演奏とは思えない鮮明さと迫力。ライナーノーツによれば、初出時には”Panorthophonic Technology”なる技術を使った実験的なシリーズとしてリリースされたものとのこと。当時から音の良さを売りにした録音だった訳ですね。
tahraのこのリリースもリマスターエンジニアの名前がCharles Eddiと表示されていることから、リマスターに非常に拘ったリリースになっています。

他の曲もドイツグラモフォンの19曲収めたボックス(こちらは廃盤のようですね)の録音にくらべて、高域のキレ、奥行き感などが良くなっており、あえてリリースする意味があるすばらしい仕事といえるでしょう。

もともとシェルヘンは好きな指揮者で、音符を直接音にするというよりは、曲の構造を俯瞰して、各楽章を明確に描きわけ、また、曲の構造を明確化するようなメリハリ、情緒に溺れない毅然としたフレージングなどが特徴です。ハイドンの交響曲もシェルヘンが振ると構造的な厳しさが表現され、他の指揮者とはまったくことなった、岩のような揺るぎなさをもつ姿が浮き上がってきます。

この選集の冒頭の告別はフィナーレの奏者がだんだん少なくなるところで、さよなら(Auf Wiedersehen)と言いながら奏者が去っていく、録音ならではの粋な演出があり、遊び心も少なからず持っていたことがわかります。

演奏から50年以上を経て、なお録音がリリースされるというのはやはりすごいこと。時代を超えて人の心に何かを訴えるものがあります。古楽器の演奏も好きですが、ヒストリカルな録音もやめられませんな。
現在演奏され、リリースされている数多くの演奏のうち、50年後にもリリースされ続ける演奏は、数えるほどになるんでしょうね。

(Blogでつぶやき)
今日はNHKで諏訪御柱祭りの生中継をみながらのんびりと。いやいや山から柱もろとも人が雪崩落ちる勇壮なお祭り。軍隊に負けず劣らず大迫力でした(笑)

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