尾形光琳の燕子花図屏風 [見聞録]
今日は新築されてから行っていなかった青山の根津美術館へ。
今日から、国宝燕子花図屏風展。尾形光琳の有名な屏風が展示されるということで、久しぶりに赤坂から、青山、表参道の散策がてら根津美術館に立ち寄りました。
新しい建物は隈 研吾氏の設計。和風を基調にしたものながら、シンプルな空間構成に現代的な感覚を折り込み、また建築家の手になるものらしく、展示空間と大きく取られた窓から入る外光とのコントラストが過度にならないよう、スクリーンを巧みに用いて室内照度を段階的にコントロールするなどの工夫が行き届いたもの。小規模美術館として理想的な出来上がりじゃないでしょうか。
それとなにより見事なのが庭園。都心の一等地にこれだけの自然が私有地として残っているだけで奇跡的です。
肝心の燕子花図屏風は、国宝だけにやはり見事。
先日の長谷川等伯の屏風も見事でしたが、光琳は金の地に筆の勢いそのままに書き上げた緑の葉と、意外とデリケートに書き込まれたかきつばたの紫の花による群生を右隻と左隻にリズミカルに配置して、見事な景色を作り上げています。思ったよりも少ない色数で書かれているものの、やはり緑と深い紫と、歴史の重みを感じる金箔の色彩感が圧倒的な迫力を生み出しています。
等伯の萩と芒の屏風を見たときは構図からゴッホを連想したんですが、こちらは色とリズムからマチスの絵との創意の重なりを感じてしまいます。
いや、本物はいいものですね。
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